Aza は日本の住所情報の入力における、UXについて考えるプロジェクトです。 特に「町丁目(小字)からの入力」により、ユーザの入力時の負担軽減の可能性を検討しています。
日本の住所情報の入力インタフェースは
を要求しており、それぞれ独立したフィールドへの入力を期待するものが一般的です。 親切なものであれば、郵便番号の入力から自動的に都道府県および市区町村、町丁目(小字)の一部または全ての自動入力が行われ、 郵便番号および町丁目(小字)の一部、その他詳細の3点のみ入力すれば良いようになっています。
これは、おそらく現在のベストプラクティスであり、Googleの入力支援APIでも同様のものが提供されており、 Shopify などで利用されています。
しかし、この入力支援が効果を発揮しない場面が幾らかあります。
これらの場面においては、利用者に入力のコストを負わせることになります。
対して、カナダ、アメリカなどでは、町丁目および番地にあたる "Street Address / Address Line 1" の入力に対する候補を提示することで住所全体の入力の手間を大きく省くインタフェースがあります。例えば、
900 Folsom St, Apt 000
San Francisco, California, 94103
という住所を入力する場合に 900 F
あたりまで入力すると概ねの候補が絞られ、表示される候補からの選択によりアパート番号 Apt 000
を除く部分の住所入力が完了できます。 接続している端末のネットワーク情報などから候補は更に絞ることができ、都合の良い場合には 900
だけで良いことも十分に考えられます。
これは住所情報が比較的正規化され、国や郵便システムによるAPIあるいはデータの提供が充実していることが大きいですが、日本の住所入力でも同様の体験もたらせないかという考えがこのプロジェクトの出発点です。
この画面に表示されているインタフェースでその成果を試すことが可能となっていますが、現状
が実現されています。残念ながら、日本では番地のレベルまでの情報が再利用可能かつメンテナンスが行われている公開データとして存在していないこともあり、入力の支援は叶いませんでした。しかし、この入力支援により最初に挙げた、郵便番号を元にした入力支援上の問題を概ね解決することが可能となり、入力上の負担を軽減できそうです。